茨城の米卸売業者(米農家)コラム

米に適した生育環境とは?美味しい米ができる条件や産地など解説

米に最適の生育環境は、気候や自然環境も条件となるでしょう。水や寒暖差、水はけなどさまざまな要素が揃ってこそ、美味しいお米ができ上がります。

生産地は全国にありますが、生育環境が良いからこそ米どころと言われます。美味しいお米が育つように、消費者も環境に気を配りましょう。

1.米に適した生育環境はこんな場所

米に適した生育環境は、自然環境はもちろん気候も条件になります。まずお米にはたっぷりの水が必要なので、水資源が豊富でなくてはなりません。同時に土の水はけが良くないと、せっかくの稲も腐ってしまいます。米どころは、日本にもたくさんありますが、美味しいお米を作るには生育環境も大切です。

1-1.水が豊富で綺麗

お米を栽培するには、たっぷりの水が必要ですが、水ならなんでも良いわけではありません。澄んでいて美味しい水だからこそ、美味しいお米が育ちます。山の近くなら雪解け水、河川ならミネラルを豊富に含んだ水が必要です。近くに良い水源がある地域に米どころが多いのは、水が良質なのも理由の1つです。

1-2.一日の寒暖差が大きい場所

お米は日光を利用して、内部にでんぷん質などの栄養を吸収します。そして昼に吸収された栄養を、気温が下がる夜の間にため込む性質があります。昼と夜の温度差がある地域がお米作りに向いているのはそのためで、とくに日照時間は大切です。

昼間にあまり日光が当たらない土地や温かくならない地域は、お米作りには向いていません。だからこそ、昔は北海道では美味しいお米が取れないと言われていました。ただ今は、品種改良により寒い地域でもお米が取れるようになり、北海道も有数の米生産地となっています。

1-3.土壌の水はけが良い

お米を育てる土壌は水をため込んでいるので、その分水はけが良くないといけません。もじ水はけが悪い土地だと、古い土が土壌に残ってしまうからです。毎日新鮮な水を吸収して稲は育つので、土の水はけの良さも大切な要素です。そのため水はけが良い土地で、常に新鮮な水が供給される土地はお米作りに適した土地だと言えます。

1-4.平らで広い土地

お米の収穫量を上げるなら、まず平らで広い土地が必要です。狭い土地でも稲作は可能です。ただ今は昔と違い大型の機械を使うことも多く、狭い土地では思うように機械も使えません。中には山の斜面で稲作を行っている地域もありますが、水を吸収するという面では平らな土地の方が稲作には向いています。

2.美味しいお米ができるまでの流れ

種もみを作ってから収穫まで、およそ一年はかかる稲作では栽培方法が地域によって違います。日本では水稲栽培がメインですが、畑でも栽培可能な陸稲も盛んです。また栽培方法は「直播き栽培」と「移植栽培」に大別されますが、現在の主流は移植栽培の方です。以下に、美味しいお米ができるまでの流れを解説します。

2-1.まずは苗づくりから

稲作に必要な苗づくりは、田植えと同時期に開始されます。まず「秋耕」と呼ばれる稲わらのすき込みが始まり、その後に耕すための「春耕」が始まるでしょう。つぎに畦塗りが始まり、基肥→入水→代掻きを経て、苗づくりも並行して行われます。

苗づくりでは、種もみを作り良いものだけを選別します。その後、消毒→浸種→催芽→を経て苗代が作られ、やっと苗づくりの準備は終わりです。苗が出来てからも緑化→硬化などの工程を経て、田植えへとつながる大作業が続きます。

2-2.田植えと終了後の管理

田植えでは、作っておいた苗を使い、水田に移植することから始まります。苗には種類や品種の特性なども重要視され、平均して1坪に50から70株ほどが植えられます。植え付けでは深さが重要で、浅いと浮いてしまい、深いと収量が減るなどいつでも気が抜けません。

田植えが終わると、水田に水を入れる、もしくは減らすなどの管理が始まります。稲の生育には追肥も大切で、つなぎ肥や実肥などの種類があります。田植えが終わっても雑草の刈り取りや病害虫の予防などやることは山積です。

2-3.収穫と乾燥を終えたら?

実入りが進み、もみが黄色になってくれば収穫時期です。まず鎌で刈り取り、コンバインなどを使って収穫をします。収穫後のお米には水分が多く残っているので、そのままだと腐ってしまいます。そのため、収穫後は必ず乾燥作業が必要です。最後にもみのもみすりと選別、精米を経て、ようやく私たちが食べられるお米が完成します。

3.米の生産量が多い産地はどこ?

お米は日本の食卓を支える重要な作物ですが、さまざまな土地で作られています。お米を作る農家は全国にたくさんいますが、その中でも有数の産地としては、以下の5道県があります。

3-1.北海道も意外と多い

北海道は、以前は美味しいお米が取れない地域と言われていましたが、品種改良のお陰で今では有数のお米の産地となりました。代表的なお米のブランドには「きらら397」や「ななつぼし」「ゆめぴりか」などがあります。

3-2.秋田県はこまちが有名

秋田県は奥羽山脈があることで、稲作にも適した土地です。冷害などの影響から稲を守りつつ、フェーン現象の利用で気温上昇を果たし、日中の寒暖差を生んでいます。代表作として「あきたこまち」や「ひとめぼれ」などが有名です。

3-3.山形県は高品質

山形県は庄内平野があることで、お米の生育地域としても優秀な県です。また品種改良にも積極的で、雪若丸などの高品質なお米も生み出しました。代表作には「はぬき」や「つや姫」などがあります。

3-4.新潟県は有数の米どころ

日本の米どころとして有名な新潟県ですが、収穫量だけでなく品質でも一歩抜きんでています。代表作には「コシヒカリ」や「こしいぶき」などがあり、知る人ぞ知る米の産地です。

3-5.茨城は関東一の米どころ

茨城県は関東一の米どころとして有名で、利根川や小貝川などの水源があります。高い収穫量を誇り、代表作には他の県でも有名な「あきたこまち」や「コシヒカリ」などが作られています。

4.田舎から田園が消えつつある?

稲作が盛んに行われていた田舎でも、コンバインなどの登場により狭い田が使われなくなり、放棄する農家も増えています。その影響もあり、今田植えの象徴でもある「水の張られた水田」や「黄金色に輝く田んぼ」などの風景も失われつつあります。影響を減らすためにも、消費者の意識改革が求められるでしょう。

5.まとめ

米の生育環境と美味しいお米を育てる条件など、疑問が少しでも解消されたでしょうか。美味しいお米を育てるためにも、これからも水資源や生育環境の整備を続ける必要があります。農家がこれからも美味しいお米を作り続けていくためにも、消費者も環境に気を配りましょう。

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