茨城の米卸売業者(米農家)コラム

国内の米の需要量が減少しているのをご存知ですか?その背景にある理由とは?

国内の米の需要量は、年々減少の一途をたどっています。新型コロナウイルスの流行によって外食産業が打撃を受けたため、米の需要量の減少を後押ししています。

長年議論されてきたのに、どうして減少し続けているのでしょうか。背景にある理由についてご紹介します。

1.米の需要はどれくらい減少している?

近年、食の欧米化が進み日本人の米離れが懸念されています。以前から米の需要が減少して、大量の米が余っていることは問題となっていました。しかし近年の需要量の減少速度は、最近ではさらに加速しています。

農林水産省のデータによると、1996年の主食用米の国内における需要量は、年間944万tありました。そこから年間マイナス8t程度の速度で需要が減少しています。2014年には国内の需要量が年間783万tまで減少し、その辺りから年間マイナス10万t程度の速度で急激に需要量が落ち込んでいます。

コロナ禍では誰もが家にいる時間が増えたため、外食産業は大きな打撃を受けました。そのため外食産業で消費されていた分の米が余る事態となり、直近の米の需要量はこれまでになく低下しています。

2.なぜ米の需要は減少しているの?

日本人にとって米は主食であるはずです。白いご飯をおかずや味噌汁と一緒に食べるのはもちろん、カレーやお寿司、炊き込みご飯は子どもからお年寄りまで幅広い世代に人気のメニューです。また体調が悪い時には、消化が良くて食べやすいおかゆや雑炊が恋しくなる方が多いのではないでしょうか。長年にわたって米の需要量の減少問題が議論されているにもかかわらず、どうして減少し続けているのでしょうか。

その理由は「食生活が多様化しているから」、「女性の社会進出が進み、外食や中食が増えたから」、「炭水化物を控える人が増えたから」の3点が挙げられます。

2‐1.食生活が多様化しているから

現在の日本では、和食や洋食だけでなく、フレンチやイタリアン・中華料理・アジア料理など世界各国の料理を食べることができます。食材についても、通販サイトで探せばほとんどのものが手に入ります。

これだけさまざまな料理を食べられる環境にいると、選択肢がたくさんある中で毎日米を食べる人が少なくなっているのも頷ける話です。実際、気軽に食べることができるパンやインスタントラーメンの消費量は増加しています。

また食生活の多様化によって、味覚も変わり、味噌汁にパンを組み合わせる人もいます。とくに若年層の米離れは深刻化していて、和食を基本とした食生活ではなくその他のジャンルと並列して、気が向けば和食を選び、その時しか米を食べる機会がないという人もいるくらいなのです。

2‐2.女性の社会進出が進み、外食や中食が増えたから

近年では、女性の社会進出が進み家事に割ける時間が減りました。米を食べるにはまず研いで吸水させてから炊かなければならず、作業自体は簡単でも時間が掛かります。米を研ぐ必要のない無洗米や、短時間で炊くことができるアイテムも多数ありますが、一人暮らしの方にとってはハードルが高いと感じることも多いのではないでしょうか。

一人で入りやすい飲食店が増え、スーパーやコンビニなどでも手軽に食事を購入できる今、わざわざ米を炊くことや炊いた米を小分けにして冷凍保存してまで食べることは、面倒だと感じる方が増えているのが事実です。

朝食は出掛ける準備で忙しいので片手で食べられるパンにして、夕食は外食や購入したものを家に持ち帰って食べる中食、もしくは茹でるだけで手軽に作れるパスタを食べるというライフスタイルの方が増えています。

2‐3.炭水化物を控える人が増えたから

最近では糖質制限ダイエットが注目を集め、炭水化物を控える人が増えています。たしかに炭水化物ばかり摂取していては、太りやすくなってしまうでしょう。そのため牛丼のご飯を豆腐に、お寿司のシャリの部分をカリフラワーやダイコンで代用するというような組み合わせも目にします。

しかし米は腹持ちも良く「レシチン」という記憶力をアップさせる働きのある栄養素が多く含まれているので、適量を食べるならとても健康的な食品なのです。「炭水化物イコール太る」というのは間違いで、大切なのはどんな炭水化物をどれくらいの量を摂取するのかということです。

米はパンよりも噛む回数が増えるので、食後の満足感があります。糖質制限ダイエットをしている人の中には、ダイエットした後にそれまでの反動で炭水化物を食べ過ぎてリバウンドしてしまう人がいます。そうならないように炭水化物をまったく摂らないのではなく、腹持ちが良くて満足感のある米を少量取り入れてみてはいかがでしょうか。

3.まとめ

最近では、国内の米の需要量は年間10万tの速度で減少しています。米は日本人の主食であるはずなのにこれほど需要量が減少している理由には、食生活が多様化してご飯以外の選択肢が増えたことが挙げられます。また、女性の社会進出が進み、わざわざ家で米を炊かなくても外食したり、外で購入したものを持ち帰って食べる中食する人が増えています。

最近では糖質制限ダイエットが流行して、太るのを気にして米を食べない人が増えました。炭水化物だけを食べていれば太りやすくなりますが、米にはレシチンという栄養素が含まれるだけでなく腹持ちが良いので、適切な量を食べるなら健康的な食品です。今一度、米の美味しさを再確認してみませんか。

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